猫とネコとふたつの本棚猫の小説(日本)>亀井亨、永森裕二「小説版:ネコナデ」 
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「 小説版:ネコナデ 」
亀井亨(かめい とおる)
永森裕二(ながもり ゆうじ)

竹書房文庫
2008年6月発行 NDC : 913.6 小説
ISBN : 9784812435175
登場ニャン物=トラ、カモシタ

 

 

【推薦:管理人】

「『ネコナデ』劇場版の脚本を私が最初に書いたのが、2007年春。
 それから一年。『ネコナデ』は映画はおろか、ドラマシリーズとなり、更にコミックになり、ここに小説化された。
 それぞれが少しずつニュアンスを違えているが、癒しとは、単に与えられるものではなく、勝ち取るものだというテーマは全メディアに息づいており、・・・(後略)」(あとがきより)

・・・と、あるように、この話はまず劇場版(映画)からはじまり、小説で終わったらしい。

しかし私はまず小説から読んでしまった。過去においては、多くの作品が、まず小説で発表され、一定の評価を得た後に映画やコミックで映像化される、というのが定番だったから、長年の習癖でつい文字の方を先に読んでしまった。本文を読み終えて、あとがきをみて、初めて順番が逆だったことに気付いた。

なので、正しい順番で進んだ方から見れば「?」ということを書くかもしれないけど、お許しいただきたく。

さて。

「私」は一流企業(株)デジタル・ドラグーンの人事部長。社長の命令で、過酷なリストラを執行中。名前は、鬼塚汰朗(たろう)。この古めかしい名前そのものな、いかめしい堅物である。決められたことは必ず守る。それが、社会や、会社や、社長が決めたことであろうと、あるいは自分で決めたことであろうと。

毎朝、午前8時45分に会社のエレベーター前につく。その誤差は前後三分間まで自分に許している。会社では、社長の機密指示に従い、無慈悲に厳格にリストラを執行する。相手がだれであろうと同じことだ。そして夕方、五時半きっかりに会社を出る。満員電車に一時間揺られて帰宅。

自宅に戻る前に、私にはもうひとつの日課がある。それは、こみあげてくる胃酸を治めること。つまり、公園で正露丸とヨーグルトを摂取して、家族に胃病を隠すこと。

ところが、その日、公園のベンチの前に、段ボール箱にはいった子猫を発見しててしまった。

帰宅してからも気になって仕方がない。翌日早朝、出社前に様子を見にいってしまった。まだいた。出社して、帰宅途中にまた見に行ってしまった。まだいた。しかも、冷たい雨が降っていた。「私」は、猫の体を掌でそっと包み込み、抱き上げた・・・

「私」の運命が変わった瞬間だった。

コチコチに固まって角だらけになっていた男が、ちっぽけな子猫の世話をしているうちに、角が取れていく。余裕が出てくる。周りが見えるようになってくる。男が、
 「これが・・・・・・癒しというものなのか・・・・・・」
と実感するまで94ページもかかるが、その後は急坂を転げ落ちるように早い。 わずか24ページ後の118ページ目で、
 「しかしこれが本能ってやつなんだろう。それ故にこいつはかわいいのだ。」
と「かわいい」を認識し、134ページ目でもう
 「誰が何と言おうとトラはいい。」
と完全に籠絡されてしまう。いつも渋面だった男が、トラのにゃあ"のひと声で笑みを浮かべ、(p.163)、ついに宣言
 「私は、もう恥ずかしがることをやめた。声を高らかに言いたい。私は、猫が好きだ。」(p.206)

ネコ菌保菌者の皆様なら、「うん、うん、そうでしょ、その通り!猫はかわいいのにゃぁ!!!」とニタニタ笑いを抑えられないでしょう。トラちゃんは何をするでもない、ただそこにいて、ごはんを食べて、じゃれて、寝るだけなんだけど、それだけで一人の頑固おやじが大変身してしまう。君子は豹変す、そして、子猫は豹変させしむ?(笑)。

ついには、一人では寂しいだろうと、お友達まで購入するが、その猫というのが、また・・・(笑)。

猫好きさんにお勧めです。
猫嫌いな人には、どうしてこうなるのか、理解できないかもしれませんが(猫嫌いって、人生の半分を損してますね。お気の毒に(>_<))。

(2014.2.1.)
★面白さ4:猫度5:お勧め度4

*このあと、「劇場版(映画)」も見ました。

*****著者プロフィール(本著より)*****
亀井亨(かめい とおる)
1969年生まれ。日本デザイナー学院中退後、映像プロダクションOFFICE YOUに就職。TBS系列福岡RKB毎日放送で情報番組のディレクターを3年務めた後に上京し、映画業界へ。劇場公開作初監督の『心中エレジー』(2005)は、海外で高い評価を受け、数々の賞を受賞した。その他の作品に『クエウチョン』(2004)、『楽園 流されて』(2006)、『病葉流れて』(2008)などがある。

永森裕二(ながもり ゆうじ)
1968年愛知県出身。AMGエンタテインメントにて邦画製作担当プロデューサーとして現在までに映画・テレビの制作・原案・脚本を30作以上手がける。主な作品に『くりいむレモン』(2004/プロデューサー、ストーリー)、『DV ドメスティック・バイオレンス』(2004/プロデューサー、原案、脚本)、『イヌゴエ』(2005/政策、原案、脚本)、『心中エレジー』(2008/プロデューサー、原案、脚本)、『観察』(2007/政策、原案、脚本)、『GSワンダーランド』(2008/プロデューサー、脚本)がある。
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ネコナデ

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*本の中身の画像は、著作権法に配慮し、あえてボカシを入れています。ご理解ください。

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