猫とネコとふたつの本棚獣医学>中島健次「出てますか?弱酸性尿」 
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「 出てますか?弱酸性尿(pH6.4±0.2) 」
中島健次(なかじま けんじ)

文芸社
2005年12月15日発行
NDC:498.3  \1,365(税込) (本体価:\1,300)
ISDN 4286006468

 

【推薦:管理人】

著者の中村健次氏は、東京農工大学を卒業して獣医師になった後、農学博士号を取り、さらに科学技術庁技術士試験にも合格したという経歴の持ち主。
その中村氏は8件も特許を取得していて、そのうちのひとつが「pHスティック」という、我々猫愛好家には非常に気になる商品なのである。

健康な猫の尿が弱酸性(pH6.4±0.2)であることは、ご存じの方も多いだろう。
これがアルカリ性に傾くと、リン酸アンモニウムマグネシウム(ストルバイト)による尿結石症の危険性が高まる。
猫に多いストラバイトを予防するには、尿を弱酸性に保つことが最大の治療法だ。

著者は尿pHに興味を持ち、自分の体で実験してみることにした。
ネコもイヌもヒトも、理想の尿pHは同じく弱酸性(pH6.4±0.2)だからだ。

さっそく毎日毎日、朝昼晩と、ことあるごとに尿のpH測定。
ところが著者は「病的な酸性尿」という困った体質の持ち主で、なかなか理想的なpH数値が出ない。
これでは「参考程度の価値しかなさそうです。」

やむなく、30代前半の健康な娘夫婦に協力を頼み、さらに、飼い主さん達から愛犬愛猫の数値をメールしてもらったり、近所の健康な犬猫の尿pHを測定したりしてデータを集めた。
「民間の一個人のできることには限界があり、これが精一杯の努力です」とのことだが、なかなか立派なデータだと思う。
猫たちの健康に頭を痛めている我々愛猫家にとっては、とてもありがたい資料だ。

この本は「なにせ編集者のご意向が、ペットではなくヒトの健康書を出版するとのことですので、ペットのことはほどほどにしておかなくてはなりません」ということで、残念ながら大半が人間尿の話である。
とはいえ、尿pHについてこれほど詳しくわかりやすく書かれた本は、あまり無いと思う。むしろ主な被実験対象がご本人であったからこそ、飲食の内容はもちろん、体調や運動量や疲労度、さらに細かい感情の起伏まで、正確に記録することができたのだ。
それになんといっても中村氏は獣医師である。
もともとが「ペットの健康に役立つのだから、尿を弱酸性にすることはヒトの健康にも役立つはず」と始めた人体実験だ。
犬猫たちのことも忘れてはいない。

猫飼い主も犬飼い主も、それからヒト自身も、この本は大いに役立つに違いない。

(2006.10.1.)
★面白さ3:情報度4:お勧め度4

【紀伊國屋書店】→ 「 出てますか?弱酸性尿」
【楽天ブックス】→出てますか?弱酸性尿

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