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「猫の歴史と奇話」
平岩米吉 (ひらいわ よねきち)
築地書館
1985年 NDC:489.53 243p
ISBN: 4806723398
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【推薦:管理人】
平岩米吉氏といえば言わずと知れたイヌ研究の大権威。
その氏の猫本だが、すごいというべきか、流石というべきか。
学者でなければ書けない本。
とにかく、とんでもない数の資料だ。夏目漱石でさえ“古典”と称して敬遠する向きのある今日、古文漢文自在に下して、これだけの文献を網羅出来るだけの実力のある人が、果たして今後出るかどうか。
内容は、題名の通り、猫の歴史および猫にまつわる奇話・伝承・言い伝えなどが、大部分を占める。
日本に初めて猫が渡ってきた頃の話から、猫又伝説、絵画に見られる日本猫の体型の推移、離島の山猫、遠路はるばる帰ってきた猫の話、その他、多岐に渡っている。
よくもまあこれだけの情報を集めたものだと感心してしまう。特に、日本における猫史や猫伝説史を、この本以上に詳細に調べたものは他に無いのではないだろうか。
猫と暮らしている身として一番嬉しかったのは、長寿猫の項だろうか。
最高齢が“よも子”の36歳半。
昭和10年から46年まで生きたそうだが、その時代に残飯=ねこまんまだけでそんなに生きられるのならば、今ならもっと長生きしてくれるかも知れない、と、思わず愛猫の頭を撫でてしまう。
ネズミが猫のオッパイを飲む話も良い。
白黒のぼやけた写真だけれども、子猫達に混ざって、ネズミが猫のお乳にぶら下がっている写真は最高だ。(この写真は有名で、他の本、たとえば「ねこ」木村喜久弥著、にも載っていたが。)
洋猫の流入と、それにともなう古来日本猫の雑種化を危惧し、日本猫の体型や特色などのスタンダードを提唱したのもこの方。
未だに「日本猫」という「品種」は認知されていないが、ぜひ生粋の日本猫は残したいものである。
ジャパニーズ・ボブテールなどは、日本猫の一家系にすぎない。
文献収集だけではない。
実践面でも充実している。
“子猫の成長表”は、これほど多くのネコ飼育本が出版されているにもかかわらず、平岩氏の表に勝るものはまず見られない。
目も開いていない子猫を人工哺乳で育てたとき、この表がとても頼りになった。
その他、骨格や歯式など、軟派な本には載っていない記載も多い。
書かれた年代の割には、文体は高尚だが堅く、表現なども少し古く感じられる。著者の年齢によるものか。
猫初心者が真っ先に読むべき本、ではないかもしれないが、猫好きを名乗るのであれば、いずれは読んでおきたい本だろう。まして猫について少しでも研究したい人なら、必読の書である。
(2002.4.10)
★面白さ4:内容の密度5:お勧め度5
→ネコを知る(日本)
→「ひ」から始まる著者
→「ね」から始まる書名

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