猫とネコとふたつの本棚猫の小説(日本)>五味康祐「黒猫侍」 
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 黒猫侍   
五味康祐
 (ごみ やすすけ)

徳間文庫  
1966年  NDC:913.6  長編
ISBN: 4195983541
登場ニャン物=内蔵助、安兵衛、お軽、黒兵衛、お陸、源藏、勘平、お幸、十内

 

【推薦:管理人】

まるで端切れを寄せ集めたパッチワークのような小説だ。しかもその端切れがどれもごく小さい。その小さいのを無理矢理集めて縫い合わせ、大きな布にしてみたが、出来上がったものには全然統一性というものがなかった、とでもいえばよいのか。

560ページの長編なのに、長編にあるべき主流というか背筋というか、そういう一本通ったものが無いのである。

いや、確かに、全編を通じて、主人公は黒猫侍こと中興上総介であるし、有名な赤穂浪士討ち入りの17,8年後、赤穂浪士に関係する人々の話、という点では一致してはいる。

しかし、とてつもなく多数の登場人物、それらの人物全てに小話、さらに、会話中に触れられる事柄についても、いちいち小話、小話、小話・・・しかも、ジグゾーパスルのように、最後にぴしゃりと一枚の絵に収まるならともかく、支離滅裂なのだから、混乱する。読みにくい。時代小説ファンで登場人物の名前も経歴もすべて暗記しているような人なら良いかも知れないが。

しかし、そのひとつひとつの小話は、なかなか良いのだ。なんかもったいない。無理に長編小説なんかに組み立てなくても、今昔物語風に短編集にうまくまとめた方がもっと味がでて良かったのではないか、なんて、素人の浅はかな考えだろうか。

すくなくとも 私は、ひとつひとつの話をつなごうとしている前半よりも、読み切り連載のような形になった後半の方が面白かった。

で・・・

話は、まず、黒猫道人というのが出てくる。なぜか黒猫ばかり20匹くらいと同居、それも内蔵助などと赤穂浪士ゆかりの名前ばかりをつけている。その道人を切った上総介が黒猫侍の異名をとり、様々な事件を解決していく。時には猫が敵に飛び掛かって助太刀したりもする。

まあ、時代小説も赤穂浪士もお好きなら読んでください。特に赤穂浪士については、月並みな解釈から大きくはずれた仮説が盛りだくさんで、新しい発見があるかもしれません。

(2002.4.10)
★面白さ2:猫度1:お勧め度2

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