猫とネコとふたつの本棚人畜共通感染症>藤田紘一郎「踊る腹のムシ」 
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「踊る腹のムシ グルメブームの落とし穴」
    藤田紘一郎 (ふじた こういちろう)

「獅子身中のサナダ虫」改題
講談社文庫=2002年発行
NDC:460   263p
ISDN : 4062736306
(「獅子身中のサナダムシ」=1999年発行
  ISBN:4062099942)

 

【推薦:管理人】

寄生虫博士、藤田紘一郎氏のおもしろ医学エッセイ。

寄生虫、と聞いて、普通はどう思うだろうか。
「うわあ、イヤだ」「気持ち悪い!」という反応が多いのではないだろうか。

藤田先生のところへ、ある大会社の部長さんがやってきた。お腹にサナダ虫が寄生しているのが発見されたのである。
藤田先生は、せっかく寄生してくれたのだからおろすな、と助言する。
部長さんは不満そうだ。自分のお腹なお中に白い長〜〜い寄生虫がいるというのだから、普通の人ならおろしたいだろう。
が、藤田先生の説得に従い、しぶしぶ帰宅する。

しかし、次の日にまた部長さんは来てしまった。男の部長さんはともかく、奥さんがどうしても耐えられないというのだ。

仕方なく、藤田先生は部長さんのサナダムシを駆虫してあげる。

それから、1年後。
またあの部長さんが訪ねて来た。トボトボと元気がない。そして言うことには、
「先生、もう一度あのサナダ虫を‘飼いたい’んです。どうすれば‘飼え’ますか?」

この部長さんがまた‘飼いたい’といったサナダ虫は、日本海裂頭条虫といって、サナダ虫の中でも特にヒトに寄生するように特別に進化した虫だった。

駆虫する前、部長さんは、身は軽く体調万全、男性としても元気いっぱいで、花粉症も出なかった。
ところが虫がいなくなると、部長さんはたちまち15キロも太り、中性脂肪やコレステロール値が異常に増え、高血圧症になり、さらに性欲まで衰えてインポになってしまったという。
それまで部長さんの健康を守っていたのは、実はあのサナダ虫だったのである。

藤田先生は力説する。
寄生虫は、全てが全て悪役というわけではない。清潔嗜好が強すぎて超清潔になってしまった日本社会はどこか病んでいる、と。

さらに、藤田先生ご自分も寄生虫に感染してみることにする。
選ばれたのは前述の「日本海裂頭条虫」である。

寄生虫の幼虫を苦労して手に入れ、自ら飲み込んでみる。さあこれでうまくサナダ虫を‘妊娠’できただろうか。

それからの先生の行動はまさに‘妊婦’だ。お腹をさすりながら、‘愛しい我が子’の成長を暖かく見守る。
お腹のサナダ虫に、キヨミちゃんだのヒロミちゃんだのと名前までつけるかわいがりようだ。
そのすったもんだが実に楽しく面白い。

もちろん、寄生虫の中には悪さをする虫も沢山ある。気をつけなければならない。この本では悪い虫も数多く紹介されている。

しかし、藤田先生の本を読んでしまったが最後、もう寄生虫を憎む気にはなれない。むしろ、寄生虫という存在の不思議さ奇妙さにどんどん惹かれていく自分に気がつく。

というより、自然界の不思議に惹かれる、と言った方がより正しいかも知れない。なぜ神様はこんな不思議な存在を作り賜うたのだろう。寄生虫とは実は、きわめて不便で弱い存在なのだ。それでも必死で生きている。ヒトの体の中で、ほかの生物の体の中で。

寄生虫に比べ、ヒトはなんて傲慢なのだろうと反省させられる本だ。

(2006.6.4)
★面白さ4:お勧め度4

【紀伊國屋書店】
 → 「 踊る腹のムシ」 「 獅子身中のサナダムシ」
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 →踊る腹のムシ獅子身中のサナダ虫

 

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