猫とネコとふたつの本棚クマの本>姉崎等「クマにあったらどうするか」 
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「クマにあったらどうするか」  
姉崎等
(あねざき ひとし)

木楽舎   
2002年発行   NDC:659
ISBN: 4907818149


 

【推薦:管理人】

姉崎等氏の肩書きには 「アイヌ民族最後の狩人」 という呼び名がつく。

姉崎氏は、その名の通り、昔ながらのアイヌ式クマ撃ち猟師の最後の生き残りである。鉄砲一丁をかついで、犬と一緒に山に入る。集団で猟をするときもあるが、いつもはたった一人で、北海道の山にヒグマを追う。

村田銃の昔から25年間、クマ撃ちを続け、単独で40頭、集団猟をいれれば60頭ものクマを撃った。1990年に春グマ猟が禁止された後は、ヒグマ防除隊の相談役、さらに副隊長として活躍する。北海道大学のクマ研究にも協力。姉崎氏が銃を手放したのは2001年、狩猟生活65年の後であった。

そんな氏の貴重な体験を、片山龍峯氏が対談集にまとめた。

生きた体験ばかりである。白衣の学者が書物と試験管相手に書いた本ではない。どんなに小さな話も、すべて姉崎氏の実体験に基づくものだ。だからものすごい迫力なのである。クマの体臭、クマの息づかい、それを追う猟師の汗のぬめりまで感じられそうな話がずらりと並んでいる。これぞ本当の猟師だと思う。

私が今住んでいるところは田舎で、クマもイノシシもサルも出るところだ。ハンターも多い。近頃のハンターはレジャーハンティングだから、マナーも態度も悪い悪い。四輪駆動の車で山の中にガリガリ入れるだけはいって、空の薬莢や弁当箱を山中にポイ捨てし、猟犬まで使い捨てする。レジャーハンターなんて要するに銃をぶっ放して生き物を殺したい連中ばかりなのだ。私はそんな奴らは大っ嫌いだ。

しかし、姉崎氏のようなクマ撃ちは心から尊敬している。クマの気持ちになってクマの行動を読み、クマを撃った後は儀式をする。その生きた知識は、私なんかが本で読んでしまってよいのかと申し訳なくなってしまうくらいに貴重なものばかりだ。

クマの事を知りたい人は、是非ぜひ読んで下さい。動物が好きな人、山が好きな人、クマが恐い人、クマが出るような田舎に家が欲しい人、そういう人もぜひ読んで下さい。クマだけの話ではありません。およそ野生動物たるものの考え方が、非常にわかりやすく、経験者でなければ決して語れない言葉で書いてあります。これほどまでに動物達を深く理解している人間がいるということが驚きです。

クマとは関係ない人でも、家の中でネコという動物と暮らしている人なら、一読の価値があります。

(2004.8.22)
★面白さ5:お薦め度5

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